映画「彼女は夢で踊る」感想

「彼女は夢で踊る」

2019年公開

 

【監督】

時川英之

 

【出演】

加藤雅也

犬飼貴丈

岡村いずみ

 

【あらすじ】  

広島の老舗ストリップ劇場に閉館が迫っていた。社長の木下は過去の華やかな時代を思い出す。最後のステージを飾るストリッパーたちが劇場にやってくる。この舞台で幕を引く有名ストリッパーや、謎めいた若い踊り子。閉館への日々に、木下は忘れていた遠き日の恋を思い出す。そして、最後の舞台の幕が上がる。観客たちはステージの裸の向こうに何かを見つめている。木下は劇場の終演に、胸の奥に隠していたダンサーとの秘密を思い出す。ステージの上に幻は眩しく輝き、木下は遠い昔の美しい夢を見る。

(以上公式サイトより)

 

【感想】

みなみ会館で5月20日まで再再上映されていたので行ってきた。

娯楽産業に携わっていたこともあって、響く言葉が多かった。

細部までは覚えられていないので、ざっくりとになってしまうけれど・・・

「男はストリッパーに各々の思いを見ている」

「恥じらいがあるから見たいと思う」

「(みんなサラのことを大好きだよという木下に対して)でも私はその人たちを知らない。そんな人たちをどうやって好きになれっていうの。」

「人生のどん底でその人はストリップを見て、人間の体はなんて美しいんだろうと思ったって」

ストリッパーの女性だけでなく、裏方の男性たち、そしてお客さんも含めて一体となってみんなで夢を作り上げているような空間なのが、懐かしくなるような幸せな雰囲気だった。

舞台となる劇場がとにかくレトロでグッとくる。

地方の歓楽街の裏ぶれた感じや、ストリッパーの着ている服なんかも含めて絶妙なチープさがリアル。

そしてヒロインのサラと木下のすれ違いが切ない・・・。

みんなが心配してるよ、じゃなくて、僕が心配だって言ってほしいんだよね。

でも、僕がいるってちゃんと抱きしめることまでできた。えらい。

サラは彼のためだけに早朝の海辺でストリップをして、でも結局彼ではなくてヒモの男と一緒に夜逃げすることを選んでしまった。

彼と一緒にいれば幸せになれるって自分でもわかっていただろうに、見捨てられなかったんだよね切ないよね・・・。

娯楽産業で働く女性、だめんず拾いがちな女性には刺さるんじゃないだろうか。

要所要所で挿入されるradioheadのcreepがまた青春の切なさを呼び起こす感じでほろ苦い。

アマゾンプライムでも有料で見られるようなので、ぜひ見てほしい一本。