パプリカ感想

パプリカ

2006年東京

 

場面やモチーフがコラージュされていて夢の雰囲気が出ている。

夢のモチーフに土着的なものが多く、科学技術と対になっている。

パプリカが使うバーもラジオクラブというなまえのオールドなスタイルのバーであり、登場したエレベーターや映画館も数十年前の雰囲気のものだった。

夢の中ともなるとさらに近未来的になっていても良さそうだが、人は自分の見聞きしたものしか夢見ることができないから、こういうものなのかもしれない。

独特のきれいな絵と癖のある音楽で中毒になりそうな感覚。

スタンドバイミー感想

スタンドバイミー

1986年 アメリカ


中学校進学を目前に控えた夏休み。4人の少年が死体探しに冒険へ出かける。


自分では大人だと思っているけれど大人になりきれていなくて些細なことに傷つく脆さ、儚さ。

親への言い訳をちゃんと考えて野宿のためのマットや防衛のためのピストルまで持ってきているのに、食べ物は用意してなくてお金もほとんど持っていないところが子どもらしい。ごはんは親が用意してくれてるもんね。マットで家を作って野宿ごっこをしていた自分の幼少期を思い出すなあ。私は室内だったけど。汗と泥にまみれた子供の体温の高さとか、背の高い雑草ですねを擦りながらも踏み分けて歩いて行く感じとか、夏の土と草のむわっとする湿度とか、祖母の家での思い出と重なって懐かしさを覚えるけど、私の子にはこういう経験はさせてあげられないんだろうなあ。夏休みの一か月、田舎で過ごすプログラムとかがあればいいけど、そんな人為的なのはきっと違うんだろうな。


才能は守って育ててあげないとどんな才能であっても枯れてしまう。おまえの父さんが守ってくれないなら、俺が代わりに守ってやる。

クリスの言葉がせつない。人は生まれじゃなくて環境と本人の努力だ。努力できる環境を作っていってあげたい。

幸せのレシピ 感想

幸せのレシピ

2007年 アメリカ


母を失って傷ついているゾーイの求めるものは、超一流のケイトの料理ではなく、食べ慣れた母の味。

セラピーで子供が好きだと勧められた冷凍食品に強く反発しつつも一応試してみるケイトが大変可愛らしかった。

試してみつつも盛り付けが相変わらずレストラン風なところに、母の味がわからない彼女の困惑と努力を感じる。

○○度のオーブンで何十分、などと細かく突き詰めた美食の世界と、個人の舌で感じるおいしさは別物であり、食べ手が生き物である以上、作り手も有機的に臨むことが良いと思った。

子供を通じた成長となってしまっているのが安易な気もしてしまうが、でもこの考え自体が安易なフェミニズムなのだろう。